九州男児が好む実用時計の意外な選択基準

「本当は、すべて“IWC”の新作だけでノミネートが埋まってしまうのではないかと心配しました」

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木村さんのセレクト基準は「信頼性」。機械の耐久性と同時に、正確に時を刻む基本設計の精度も実用時計には不可欠であると話す。

「“IWC”は洗練されたデザイン性が優秀ですが、確かな信頼性も備わっています。ビッグ・パイロットの文字盤を白に切り替えたことも注目に値しますね。日本限定モデルの登場に、もう時計はこれ一本でいいのでは、と思ってしまったほどです」

「ブライトリング」や「ベル&ロス」など、パイロットウォッチの使用感の良さも、実用的と太鼓判。

「ボタンひとつで、すべての機能が使えるのは便利な機能。それに一般的なカレンダー時計は、カレンダーの修正をしてはいけない時間帯があったり、リュウズを逆回転して表示を調整するのはNGなど、面倒なものです。“パネライ”や“ブライトリング”は、そんな面倒な約束事を知らない機械式時計初心者が安心して使えるという点でも実用性アリと言えるのではないでしょうか」

「エドックス」や「ボーム&メルシエ」など、買いやすい価格設定のモデルも実用時計にご推薦いただいた。ちなみに九州ではここ数年ビッグフェイスの人気が継続中とか。

「男らしくて雄々しい印象がありますからね。小さい時計は、人間もなんとなくコンパクトにまとまってしまうと思われるようです。九州男児は、時計も心意気も大きいです!」

時計宝飾店カミネ代表取締役社長 山田時計

ハイレベルな時計こそ初心者の「実用時計」

「自然界におけるあらゆる過酷な環境下で、正確に時を刻めてこそ真の実用時計だと考えます。耐久性と信頼性を同時に満足させる時計こそ、実用として価値ある腕時計です」

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そのお眼鏡に適ったのは「IWC」インヂュニア・オートマティック・ミッション・アース。前モデルよりケースが大型化し、リュウズガードも搭載された。ムーブメントには耐衝撃システムを組み込み、ラバーストラップでスポーティな意識も高い。

「安定した精度を保て、過酷な環境にも耐えることができる実用時計としては“ボール”が挙がってきます」

同社が誇る耐衝撃特殊バックルと、セーフティロック・クラウンシステムのデザイン変更により、世界最高峰の耐衝撃性能を実現。夜間の視認性を高めるマイクロ・ガスライトなど、実用性に優れるスペックを装備した新作のエンジニア ハイドロカーボン。宇宙飛行士、ブライアン・ビニー氏とのコラボレートモデルである。

「さらに長期使用にも耐えることができ、ローコストで愛用することができる“オメガ”や“ガランテ”も実用時計としてはずせません」

故障などの心配がなく、しかも購入時の初期投資費用も低く抑えられることが重要とは、買い手側からの要求もしっかり理解したうえでの選択。初の自社ムーブメント「B-01」を搭載した“ブライトリング”も、機械式初心者にも安心して使えることを理由に上位に推挙。「実用」とは、環境だけでなく使い手のレベルをも問わないことと、再確認させてくれた。

ベスト販売代表取締役社長 石田憲孝 選

「実用とは“使う”こと。使わないもの、ただ飾っておくもの、必要以上に丁寧に扱わなくてはいけないものを“実用”とは思いません」

本企画の選者を依頼するにあたり、石田さんが実用時計を選ぶとき手にする回数が多いものこそが「もっとも実用的な時計」になるだろうとGQ JAPAN編集部でも予想していた。そこに価格の制約やカテゴリーの枠は不要ゆえ、自由な石田さんの感性を望んだのだ。

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「現実的にこの企画を熟考したら、頭に浮かぶ時計は“ロレックス”なのかもしれません。ちなみに“Gショック”はノミネートに入れませんでしたが、もし時計としてふくむなら、実用時計ナンバー1だと思います」
そう言いながら、『GQ』の読者層にふさわしい時計を選出。結果は納得のものとなった。

「1815は高価ですが、“ランゲ”のなかではエントリーモデル。この価格帯としては安定供給されています」。
時計は雑貨とちがい、安価=価格が安いという意味ではない。しかし誰にも手が出ない価格のものは実用的ではないのだと付けくわえながら。そして、どんなに安くて良いものであったとしても、そこにモノとしての“魅力”がなければいけないとも。

「実用時計は、実際に使われていて、便利で、何かしらの効果があるもの。それは時間を知る、計る、そして時間を楽しめるという効果。人生を豊かにするツールなのですから」