タグ・ホイヤー:カレラ キャリバー ホイヤー01【バーゼルワールド2015新作腕時計】

昨年のバーゼルで発表され、筆者自身も大いに期待を寄せていた新キャリバー、CH80がまだ発売に至っていない状況ですが、今回のバーゼルワールドにおいても、また全く新しいカレラが発表されました。

その姿はモダンでアバンギャルド、現代のタグ・ホイヤーらしいものに確かに見えますが、そのディテールは他ならぬ現タグ・ホイヤーCEOのビーバー氏が、ウブロにて文字通り大爆発させたビッグバン的なアプローチに満ちていることに気付いたのは筆者だけではないでしょう。

タグ・ホイヤー:カレラ キャリバー ホイヤー01

搭載されるキャリバー、ホイヤー01は、「エドワード・ホイヤーへのオマージュとしてホイヤーの名を冠した」とのことですが、これは写真を見る限りにおいては1887のローターやコラムホイールなどの目に付きやすい部品の意匠を変えただけのようにも見えます。

もっとも、変えなくていいものを無理に変える必要はないのですが、近年、度重なる技術革新を繰り返してきたタグ・ホイヤーにあって、そのホイヤー01という名前は期待を煽るに十分なものと思えるのです。

タグ・ホイヤー:カレラ キャリバー ホイヤー01

そのケースはチタニウムカーバイドコーティングが施されたステンレススチールで作られており、カレラの伝統的な3ピースケースではなく、12もの異なるパーツからなっているそうで「素材、色、加工、仕上げにおいて際限のない組み合わせが実現できるという点で、大きな可能性への扉を開くものです」、との説明に至っては、もはやウブロそのものと言っても良いでしょう。

どうも今回発表されたこのモデルについては、カレラ・アエロバンとでも名付けたほうが分かりやすいのでは、というのが私の偽らざる感想ではありますが、このウブロ的アプローチによって生まれたカレラは、それはそれで良い顔をしており、もちろんはじめに申し上げました通り、ホイヤーらしくも見える。

今や同じLVMHグループ内のシスターブランドであるホイヤーとウブロ、これらのプロダクトに共通点が増えてもなんら不思議は無く、逆にそれが何倍もの相乗効果を生むようになる可能性も大いに秘められている事に、何ら疑う余地はないのです。

タグ・ホイヤー:カレラ 100M Cal.18/Cal.6 39MM【バーゼルワールド2015新作腕時計】

1960年代、社運をかけて開発され、見事にホイヤーのフラッグシップにまで上り詰めたカレラ。

そんなカレラは、21世紀に不死鳥のように蘇り、再びフラッグシップの座へと返り咲きました。

そして今年もまた、新たなるカレラがバーゼルワールドにてお披露目されました。

今回、バーゼルワールドに発表されたのは2機種。

一方はスモールセコンド仕様、そしてもう一方は2レジスタークロノグラフ。

“ON A VINTAGE MOOD” とのキャッチフレーズ通り、いずれも歴史あるタイムピースのみが表現しうる、ビンテージテイストに溢れた新作となりました。

タグ・ホイヤー:カレラ 100M Cal.6 39MM

スモールセコンド仕様のモデルから見ていきましょう。

サンバーストのシルバーダイアルに、メタリックブルーのフランジとスモールセコンド、そしてフランジ部の60のインデックス、旧タイプのブランドロゴ、スモールセコンド針に配された、一際鮮烈な印象を与える赤。

まさに1969年登場のクロノマチック搭載機を彷彿とさせるカラーリングであり、その雰囲気はカレラならではのモダニズムを見事に継承したものと言えるでしょう。

さらに今回の新作に採用されたキャリバー6にはクロノメーターチューンが施されており、COSC公認の証、”CHRONOMETER”の表記が文字盤上12時位置に追加されている点も非常に印象的です。

タグ・ホイヤー:カレラ 100M Cal.18 39MM
そしてもう一点がキャリバー18を搭載したクロノグラフ。

こちらはマットシルバーにブラックのインダイアルという、モノトーンに抑えられたカラーリングが採用されています。

横に並んだ2つのインダイアルと6時位置のデイト表示の組み合わせというレイアウトは、まさに往年のクロノマチック搭載機と同じものであり、旧ロゴと共に機械式クロノグラフの華やかし時代の雰囲気を見事に再現していると言えるでしょう。

カレラにしては珍しいことに、この新作においてはダイアルの最外周にテレメーターが配されていますが、そのインデックスのフォントも1960年代を思わせるものであり、この時計のヴィンテージ・ムードを盛り上げています。

ここ数年、多くのメゾンにおいて緩やかにケースサイズの小型化が進んできている印象がありますが、この新しいカレラに採用されたのは39ミリ径のケースであり、タキメータークロノグラフに始まった新世代のカレラのクロノグラフの中では最小のものとなります。

カレラのようなスポーツウォッチが、本来の意味での道具として活かされていた時代の、筋肉質なタイムピースを彷彿とさせるこの新しいカレラが、今後市場でどのような動きを見せるのか、楽しみに思うのは筆者だけではないでしょう。

タグ・ホイヤーがグーグル、インテルと共にスイス・スマートウォッチのコラボレーションを発表【バーゼルワールド2015ニュース】

去年のアップル・ウォッチの発表に続いて今年2月にはスウォッチグループが3ヶ月以内にスマートウォッチを発売すると宣言、そして今年のSIHHにおいては、モンブランがウェアラブル端末付きのストラップを発表。

2015年のバーゼルワールドにおいてももちろん、留まる事を知らない開発精神を披露したタグ・ホイヤーでしたが、やはり最もセンセーショナルであったのは、同社とグーグル、そしてインテルの3社による突然のコラボレーションの発表でしょう。

しかし私が最も驚いたのは、インテルやグーグルではなく、ジャン・クロード・ビーバー氏がその場にいたことでした。

かつてブランパンを、オメガを、そしてウブロまでもを完全復活させ、機械式時計の復権を、そして今日のスイス時計業界の繁栄を支え続けてきたスーパーマン、ジャン・クロード・ビーバー氏。

彼がウブロのみならず、LVMHグループのウォッチ部門全般を統括するようになったという話は聞いて言いましたが、いつの間にそうなったのか、何とタグ・ホイヤーのCEOとして、その舞台に登場したのです。

タグ・ホイヤーの現ジェネラル・マネージャーであり、R&D部門を統括するギィ・セモン氏は、彼の主導によって機械式時計の動力伝達、調速、脱進の全てに革命を起こし、栄えあるジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリの最高賞、「金の針賞」に輝きましたが、タグ・ホイヤーに入社する前は軍用のロケットを作っていたという彼の経歴から考えても、彼自身が機械式時計にこだわりを持ち続けることにあまり意味が感じられなかっただけに、タグ・ホイヤーも何かやるに違いないことだけは確信していたのですが、そこにスーパーヒーローであるビーバー氏が加わったことで、展開が一気に加速したとみていいでしょう。

ビーバー氏が動けば、必ず何かを成し遂げる、少なくとも今までに例外は無かったのです。

このプロジェクトは、タグ・ホイヤーのみならず、LVMHグループとして総力を挙げて取り組む、との宣言と見て良いでしょう。

そのバーゼルワールド初日の3月19日行われたプレゼンテーションには、ビーバー氏、セモン氏、そしてアンドロイド・ウエアのエンジニアリング・ディレクターであるデビッド・シングルトン氏、インテルのバイス・プレジデントであり、ジェネラル・マネージャーであるマイケル・ベル氏が加わり、グーグル、タグ・ホイヤー、インテル3社による、ラショー・ド・フォンの「ウォッチ・バレー」と「シリコン・バレー」のコラボレーションによるスマートウォッチの開発が宣言されたのです。

タグ・ホイヤー:アクアレーサー 300M クロノグラフ Cal.16/Cal.45【バーゼルワールド2015新作腕時計】

今回、2015年のバーゼルワールドに先行して、キャリバー16搭載のオートマチック・クロノグラフも新型に生まれ変わりました。

より安定感のあるデザインとインデックスへの墨入れを廃したベゼル、ケース形状ではなく、ディテールを詰めることによって上質な立体感を醸し出す試み、そして新型のH型リンク採用のブレスレットはベーシックモデルと共通であり、外装の進化は誰の目にも明らかと言えるでしょう。

アクアレーサーの持ち前の300m防水をはじめとするタフネスはしっかりと継承されており、タグ・ホイヤー自身もこの新作を「過酷な状況においても着用可能なクロノグラフ」と説明しています。

さらに新型のクロノグラフ、もう一点についても言及しなければならないでしょう。

それは新たに加わった、キャリバー45というムーブメントを搭載しています。

タグ・ホイヤー キャリバー 45

文字盤上3時位置にスモールセコンド、9時位置に30分積算計、6時位置に12時間積算計という、いわゆる横目の配置に加え、12時位置には2つのディスクで表示するラージデイトを備えている点が特徴的。

もちろんその外装は、他のアクアレーサーの新ラインナップ同様のグレードアップされたものです。

エントリー~ミドルレンジを代表するダイバークロノグラフとして、更なる進化を遂げたアクアレーサーは、タフなクロノグラフを求める方にとって、今まで以上に強力な選択肢となるでしょう。

タグ・ホイヤー:アクアレーサー 300M【2014新作腕時計】

2014年冬、タグ・ホイヤーはダーバーウォッチ・コレクションであるアクアレーサーのベーシックモデルを全面刷新しました。

ここに繰り返すまでもなく、ベーシックモデルの刷新は、その後のコレクション展開においてクオリティや意匠の統一性等に大きく影響を及ぼすものであり、重要なターニングポイントとなることも多いはずですが、今回の新型アクアレーサーに関するタグ・ホイヤーの情報発信は目立ったものがなく、意外に感じるものでした。

改めて公式サイトのアクアレーサーのページを眺めると、今日現在の段階でクロノグラフ系、500M系、そして300Mのアルミニウム・ベゼルのモデル以外の全18機種中8機種に及ぶモデルが新型となっている事が分かります。

今回はその刷新された8機種の中でも、最も高い人気を誇るアクアレーサー300M キャリバー5のスチールモデルを取り上げてみましょう。

タグ・ホイヤー:キャリバー5

その名の通りキャリバー5ということで、安定性、信頼性に優れる2824系自動巻ムーブメントはそのまま採用が続けられたようですが、その更なる外装の進化は是非ご注目いただきたいところと言えるでしょう。

新作を手にしてまず感じたのは、ベゼルのファセットが若干緩くなったのか、ケース全体がより平坦に感じられることでしょう。

腕時計のデザインにおいて「立体感」は非常に重要なファクターですが、新作においてはこの全体的な雰囲気でなく、細部の意匠をより進化させることで立体感に対するアプローチを行っているように見えます。

タグ・ホイヤー:アクアレーサー 300M キャリバー 5 自動巻ウォッチ 40.5MM ブラック ブレスレット ポリッシュ仕上げスチール製

例えばベゼル。

前作においても、そのシャープでデリケートなアウトラインは十分に観賞に値するものと感じていましたが、今回は面取りを大きく取ったことによって、よりエッジのシャープさが際立つようになったことに気づかされます。

また特徴的な12角形のベゼルについて、新作では12角形を15度回転させ、アクアレーサー伝統の意匠である6カ所の滑り止め、及び10分毎のインデックスが12角形の「角」の部分から「辺」の部分に移動、これによってより調和のとれたデザインとなったと感じるのは筆者だけではないでしょう。

また新作では10分毎に刻まれたアラビア数字インデックスへの墨入れが廃されましたが、これも加工精度の高さに自信がなければ出来ない変更と言えるでしょう。

パテック・フィリップ:アニュアルカレンダー クロノグラフ 5905P【バーゼルワールド2015新作腕時計】

同軸積算計と垂直クラッチを採用したクロノグラフ機構で、クロノグラフの新時代を開いたパテック フィリップのアニュアルカレンダークロノグラフ、5960。

その5960からクロノグラフ機構を排し、特徴的な曜、日、月の扇状の表示を引き継ぎながら、往年のセクターデザインを思わせる、長いバーインデックスを持つツートンの文字盤を与えられて登場したアニュアルカレンダーモデル、5205。

そして今回、この流れを継承したアニュアルカレンダークロノグラフ、5905が発表となりました。

パテックフィリップ 年次カレンダー搭載クロノグラフ5905Pモデル Ref. 5905P-010パテックフィリップ 年次カレンダー搭載クロノグラフ5905Pモデル Ref. 5905P-001

5205のセクターデザインを引き継ぎながら、その最外周にはクロノグラフの文字盤として明瞭なセカンド・トラックが刻まれ、5960譲りの6時位置のインダイアルには時積算計が排されて分積算計のみが配置されています。

パテックフィリップ 年次カレンダー搭載クロノグラフ5905Pモデル Ref. 5905P-010パテックフィリップ 年次カレンダー搭載クロノグラフ5905Pモデル Ref. 5905P-001

インダイアルの強い個性と高い判読性を併せ持つインデックスのデザインは、文字盤全体とのバランスにまで配慮が行き届いており、パテック フィリップの非凡なる美意識の高さを感じさせるとともに、その顔にクロノグラフらしい精密感を与えています。

パテックフィリップ 年次カレンダー搭載クロノグラフ5905Pモデル Ref. 5905P-010パテックフィリップ 年次カレンダー搭載クロノグラフ5905Pモデル Ref. 5905P-001

また5960で見せたモダンデザインとは対照的な、セクターデザインに象徴されるアール・デコ調のクラシックな雰囲気に合わせて、スクエア・プッシャーを採用している点も見逃せません。

キャリバー CH 28-520 QA 24H フロント

5905は、5960のムーブメント、キャリバーCH 28-520 IRM QA 24Hを幾らかシンプルにしたキャリバーCH 28-520 QA 24H を搭載していますが、同社の卓越したセンスは5905に5960とは異なる付加価値を与える事に成功した、これは大いに評価されるべきではないでしょうか。

テック・フィリップ:カラトラバ パイロット トラベルタイム 5524

今年のバーゼルワールドにおいて、最も「高貴」なウォッチメゾン、パテック フィリップが、「らしからぬ」新作にて話題をまきました。

その名もカラトラバ パイロット トラベルタイム。

パテック・フィリップ カラトラバ パイロット トラベルタイム5524モデル

一見ブラックに見えるほどに深いブルーのダイアルに、20世紀初頭のタイムピースを思わせるフォントのアラビア数字によるアワーマーカー、そしてその外周に走るレイルウエイトラック。

ブルースチールフレームの夜光長短針、そして一見スモールセコンドに見える6時位置のインダイアルは、まるで第二次世界大戦時の軍用時計のようなたたずまいを見せています。

パテック・フィリップ カラトラバ パイロット トラベルタイム5524モデル

常に王様用の時計のみを作り続けてきた印象の強いパテック フィリップにあって、いわゆるツールウォッチとは全く縁がなかったのでは、と考えていたのですが、同社のプレスリリースによれば、「パテック フィリップにおけるパイロットウォッチの伝統へのオマージュであり、1930年代に制作され、パテック フィリップ・ミュージアムに展示されている2点のアワーアングルによるナビゲーション時計からインスピレーションを得ている」とのことです。

パテック・フィリップ カラトラバ パイロット トラベルタイム5524モデル

ともあれ、このダイアルデザインと、“PATEK PHILIPPE” のロゴが不釣り合いに見えて仕方がないのは筆者だけではないでしょう。

しかし当然、このメゾンがごく普通にこのタイプの時計を作るはずはありません。

42ミリ径の現代的なサイズ感を持つケースは、顔の印象からは想像がつきにくいホワイトゴールド製であり、そしてこれから伸びるラグが描く曲線はあくまで繊細かつ優雅であり、この時計がまぎれもない「カラトラバ」であることを物語っています。

パテック・フィリップ:175周年記念コレクション ワールドタイム・ムーンフェイズ Ref. 5575 & Ref. 7175

先述の通り、パテック・フィリップにとって175周年は非常に重要なものであり、これを記念して発表されたタイムピース達からは、同社の並ならぬ思い入れが伝わって来ます。

パテック・フィリップが1930年に初めてリリースし、1959年にパテントを所得した、シンプルな操作で24のタイムゾーンを表示するワールドタイムは、鳴りもの系のコンプリケーションや永久カレンダークロノグラフ同様、同社を代表する時計の一つとして広く知られています。

パテック・フィリップ: ワールドタイム・ムーンフェイズ Ref. 7175R-001

今回175周年記念コレクションに加えられたワールドタイムには、印象的で詩的なムーンフェイズが搭載され、一層の魅力が加えられました。

このムーンフェイズは重なり合う、非常に薄い2枚のミネラルガラスによって、星を散りばめられた夜空の中で月がゆっくりと満ち欠けしていく様を再現するものです。

下層のディスクには、リアルで雰囲気のある月がディスクの半径大で描かれており、1太陰月で一周します。

パテック・フィリップ: ワールドタイム・ムーンフェイズ Ref. 5575G-001

対して固定された上層のディスクにはハート形のマスクが描かれており、これによって下層の月の一部、または全部を隠して、夜空に見える月を驚くべき正確さを持って文字盤上に再現します。

そしてこの夜空や星は、写真並みの豊かで繊細な表現を可能とする、新しい複雑なメタライゼーション技術によって描写されたものであり、その美しさもこのモデルの大きな魅力のひとつとなっています。

パテック・フィリップ: ワールドタイム・ムーンフェイズ Ref. 7175R-001

更にこのモデルにはホワイトゴールド製で黒文字を備える、ケース径39.8ミリの紳士用、Ref. 5575 に加え、70もの完璧なダイヤモンドをベゼルに備えた、ローズゴールドケースにシルバーダイアルを備える女性向けのRef. 7175 が用意されています。

パテック・フィリップ: ワールドタイム・ムーンフェイズ Ref. 7175R-001

また通常パリとして表記してきたタイムゾーンを、今回はジュネーブとして表記しており、175年間、そして今後も永久に変わることなく拠点とし続けるであろうジュネーブへの思いを、ここで表現しているように思えてなりません。